C O L U M N

4社目で自分自身も多用していた“国内市場”と“海外市場”という言葉。これはつまり日本国内の市場と日本以外のすべての市場のこと。“海外進出”や“海外販路開拓”、この目指すところはつまり海外に拠点のある会社や個人に働きかけ契約を結ぶこと。オーダーフォームによる注文なのかパートナー契約なのかは別として、日本国内以外の顧客を増やすことを指すのだと認識していました。

これまで、数多くの案件に携わり、他メーカーさんでの事例を間近で見聞きし、自分でも海外営業担当として 欧州、米国、アジア(中国とシンガポール)に出張で出向き、そして反対に日本で彼らを迎え案内する中で感じ考えていたこと。
組織の運営上(例えば経理上)は必要なことかもしれないけれど、市場を認識する上で“国内市場”と“海外市場”という分け方は都合の悪いことが多々あると思います。国内も海外も、市場はこちら都合で分けられない。この先、この境界の曖昧さはさらにじわりじわりと浸食してくるはずです。

過去にこんな場面に出くわしました。追いに追いかけようやく受注…と思ったら、日本に住んでいる友人の会社経由で注文すると。(なんと!そうなると、私が当時所属していた会社の捉え方では国内売上にカウントされてしまう。)もしくは、海外でお店や会社を経営している日本人の方であっても、実は日本にも拠点がありそちらから注文すると。オーストラリアのライフスタイルショップだけれど、注文はアジアの商社を通したいと。中東にある個人運営のギャラリーに、わざわざ欧州から何度も買い物に来る人がいると。ドイツのシステムキッチンメーカーもスタイリングの相談を持ち掛けたと。家族で旅行中に東京のお店に寄りお土産を購入した人が、後日欧州でのパートナーになりたいと連絡をくれたこと。アメリカの案件で色々と提案していたが、注文の段階になったら一括でシンガポールからするからこれこれこういうステップを踏んでくれと。スマートフォン片手に、キョロキョロしながら突撃訪問されるようになったと。
また、こんなこともありました。私が4社目で店長をしていた時代、常々「弊社の商品はすでにどこかでご覧になられたことがあるか」「見たことがあれば、どこで」ということをお客様にお尋ねするようにしていました。英語であれば「NOUSAKUをご存知ですか?」と。相手に「何かお探しですか?」というような主旨の声掛けをするよりも敷居が低いと感じ、お客様へのファーストコンタクトを柔らかなものにすると考えたからです。その時の返答が非常に多種多様で、私が想像していた以上に、世界中で人は日々動いているし、人は世界中で繋がっていると強烈に感じたことが想起されます。

だから、海外進出という概念も古くなってくると考えています。 情報の伝わり方が意図した経路とは異なる場合が更に増えていくでしょうし、購入経路も直接購入だけでなく代理店やビジネスパートナー、商社を介して、また知り合いや友人知人から。 会社のコストとしても営業活動費、広報や制作物にかける費用が、結果として国内と海外とでその境界が難しい場合が今後どんどん増えていくはずで、経理上必要な区分けかもしれませんが、営業戦略上は国内外市場を1つの大きなマーケットとして捉えられれば理想でありむしろ対応も取りやすくなるのではと感じるに至りました。海外進出というより、全社的な海外対応の促進です。
また、日本国内にいても、海外市場を意識した海外対応という取り組みは避けられなくなりそうです。 この時代、海外のお客様が現れることはもうもはや避けられない以上、絶対的にしておいた方がいいという段階にきているとも言えます。その最たるものが 制作物の整理(メッセージの整理)、そして商標等と海外保険への認識です。後者についてはまた別の記事でまとめます。

海外の展示会や出張に出ていくだけが海外進出ではありません。極端な話、海外展示会及び単独出張でPR営業行脚に出る投資と、羽田空港や都内の主要エリアに出店することで期待できる効果は、ある種似ているかもしれません。 「日本に行ったら絶対に買って帰りたいブランドとしての地位を確立する」ということも、ユニークな戦略であり海外進出の1つの形ではないかと以前ボンヤリと感じていました。 こういう考え方にご興味のある会社様に出会えたら、非常に嬉しいです*

一口に海外と言っても、それぞれの国で結構異なる嗜好性。どの国のどの層への訴求ならできそうか、どんな使われ方なら可能性がありそうか、そんなことを考えるべきなんだろうなと思います。しかし、ほとんどの中小企業さんの場合には社長と社員1名もしくは社長が1人(もしくは外部コンサルタント等と)で海外関連マターを進めているという。 であれば、海外進出の第1歩として、PR/自社スタッフの言語慣れ/嗜好性分析という目的の元、そういった日本国内の観光地に出店するというステップも効果的かもしれません。


まとめると、海外に積極的に出ていかない場合であっても、1)日本語以外のお客様を意識した紙資料の展開と、2)日本語以外での問い合わせや注文に社内が混乱しない工夫はどこかのタイミングでご準備されるとよいと思います。リスクヘッジを含めてです。この話はまた別途。

できることは、商品とともに箱に入れる紙資料を捉え直す。 この話は「店頭で日本人が購入されても最終的にどの国の人のもとにたどりついているのかが分からない」という4社目でのふとした気付きによるものです。商品に添えてお客様の手に渡る情報を精査し一度日英バイリンで整えておく。そうすれば差し替える手間も軽減でき、伝えるべき情報の漏れもありません。もちろんコストとして最初はかさみますが、その商品の箱に入る小さな紙がクレーム防止に加えて営業と広報を担ってくれると思えば。尚、私自身は日本語の次に準備すべきは英語と考えています。例えアジア系の方々であってもある程度の価格帯の商品を購入する方であれば 英語を読み書きされるだろうという。また、事務所にいる受注対応者が 英語が苦手な人であれば 和英対応の定型文を事前に作り、空欄に当てはめれば対応できるようにする。注文用紙も、自社のものを極力使ってもらう等。

海外に出るだけが海外進出ではない、そして海外顧客を意識せずとも向こうから来てしまう まさにボーダーレスな時代にあっという間に突入しました。英語英語インバウンドとあまり言いたくはありませんが、踊らされることなく時流に乗り、山奥からでも楽しんで乗りこなせるような自分でありたいと感じる毎日です。