カテゴリー: 工夫やノウハウ

  • 組織作りへの伴走

    組織作りへの伴走

    1年近く経っての更新となるこのESSAYページ、これが私のペースなのでこれでいいんですがとても久しぶりに書きたくなりました。
    三男を妊娠中にはまたしてもつわりが重く、そしてその後も出産まで2つの心臓と4つの肺を回していく中で、場面場面で整理や決断の必要性があり、振り返れば夫ともにその都度両手からこぼれ落ちるギリギリのところでTO DO対応してきたように感じています。目の前の生活や子供たち、クライアントさん対応がプライオリティの上位を占め、いわゆるプライオリティリストの中で本ホームページの更新は遥か下の見えないところに位置し、それは出産後も当然ながら基本的に上がることはありません。ただ、時たま予告なく私の中でムクムクッと「更新したい」意欲が湧き、ワードプレスの醍醐味でもある5分10分で文章を編集したりササッと調整するというような状態が続いていました。
    また、本ホームページの新着情報でご紹介するのは制作物ディレクション案件が多いですが、それは一言で言うと掲載しやすいため。大体の期間が決まっており、成果物も明確で、オープンにできるトピックであるという。実際の案件は中長期でのご相談が多く、ESSAYで触れられる内容ではないことと、そしてトップページに長らく載せていた「その時その組織で必要なスポットサポートを」という表現は実態と合致していないことももう何年も気付きつつそのままになっていたのです。
    それが、先月の終わり頃からホームページへの関心が高まり、それは「更新しよう」という意欲へと変わり、この度ワンフレーズも「そのとき必要な伴走を。」へと更新し、ESSAYについてもちょうど先週の都内出張を機にここ1年ほど感じ考えていたことを言語化してみようと思い立ち、こうして文字にする作業へと進みます。

    クライアントさんからの具体的なご要望や課題について、SNSはもちろん、本HPにおいても触れることはありませんが、ここ数年、いわゆる人材採用 ー 人材育成 ー 組織改善 のご相談を多くいただくようになってきていると感じています。実際に案件として抱えている2つが5年以上の関わりということもありますが、その他にも契約には至らなかったものの「東京チームをマネージしてもらえないか」「まずは見て(かかわってみて)ほしい」「会社のスタッフらとの関係性に悩みがあり、相談に乗ってほしい」といったお話をいただいてきたことや、最近には「現クライアントさんとの仕事において、澤さんの領域や役割とともに、社長とはどのように連携・すみわけしているのか可能な範囲で教えてほしい」とピンポイントでご質問いただくことが出てきました。
    自己紹介ページでも記していますが、私の場合には、ベースとなっているのは大学卒業後に所属した会社で日々の業務を通じて体得してきたものです。振り返れば常に課題には事欠かなったことと、今現在もそうですが試行錯誤し続けておりずっとその勉強やPDCAサイクルの中にいるようなイメージで、常に更新し続けているような感覚を抱いています。
    2年前の初夏に三男を出産して以降は確かに私のフットワークは落ちていますが、それでもありがたいことに仕事を続けられており、様々な角度から組織作りのお手伝い(という名の実務)やご提案をさせていただいています。

    組織作りに際しては、大なり小なり組織には課題があるものであるという前提のもと、介入や改善の強さやその必要性があるかどうかから考えます。あわせて、エンゲージメントやモチベーションの向上が組織の成果へ繋がることを踏まえ、よりよい形はどういう組織であるかを経営者とともに描き続けます。また、現場のスタッフAさん固有の課題なのか、それとも組織的な課題であるのか。これは私の体感値の範囲ですが、比較的多いケースとして、個人の課題であったとしても、必要な介入がなされていないことによって組織的な課題へと発展している場合があるように感じられます。
    組織の人数に限りがあり兼務されている状態であることや、経験豊富な人事の専門家がいない場合もあり、時として社長自らが介入していくことが最善であることもあり、それをご本人へ指摘させていただくこともあります。長らくその状態にある組織というのは、紐解きにも時間がかかり、その間新しいメッセージを発信し続けることが重要です。人はそう簡単には変わらないことも多く、個々のスタッフの意識を変えるというステップは骨の折れる作業でもありますが、個人の性格や特技・特性に寄り添った変化を促すことや、社長のしっかりとしたメッセージを受け、少しずつでも変化が見えてくると俄然変化の速度が上がっていきます。
    組織の在り方への正解は1つではなく組織の数だけ答えは存在し、組織の状態や状況からプラクティカルな判断が必要な場合も往々にしてあり、一歩ずつでもより働きやすい組織作りへのお手伝いをと考えています。業務/役割の整理や、それこそ部門の区切り方、実務の流れや課題をお聞きして再編成をお手伝いすることもあります。組織図の形を根本から大きく変更するご提案を差し上げることもあります。

    あわせて、時として実際に私がその組織の人と直接向きあうことがあるのですが、その際に最も大切なのは、私が信頼される人間かどうかであると考えています。私からの言葉に聞く耳を持ってもらえているのか、これはなかなか一朝一夕には解決も飛躍的に伸びることもなく、私自身も休憩しつつです。よくも悪くもどこまでいっても生身の人間なので対応にもムラが出てしまう可能性はあり、また、人の情緒や感情・思考を扱うものはAIで置き換えられるものではないように考えています。

    人の話というのは守秘義務があるため具体的には書けませんが、私自身が仕事上で意識していることは以下のようなことです;
    —–
    ・何らかの強い感情(怒りの連絡をうける、相談される、泣きながら話される)に直面した際には、相手の状況や心理状態をできるだけ詳しく想像する
    ・一呼吸おいて対応する時とすぐに対応する時、これらを逐一判断することを怠らないようにする
    ・対面でのMTG、オンライン、通話、チャット、メールを使い分け、タイミングも考える(こちら理由で対面は叶わないことが多い)
    ・どんな些細なことでも、自分が言ったことは最低限守る
    ・自分の意見なのか会社の意見か、トーンは柔らかくも言葉ははっきりと用いる
    ・組織図は実際に即している必要があり、何度でも更新すればいい
    ・組織図のフォーマットも人員体制も部門の作り方も正解は1つではなく、自社オリジナルを常に考え続けるスタンスが望ましい
    ・判断を先延ばしにしないよう社長に伝え、間違ってもいいがその都度判断してもらうことを意識する
    ・何事も無期限にしない
    ・伝えるタイミングや言葉選びには細心の注意をはらう
    ・思い切った決断をする必要がある際には、ご自身の中でしっかりと覚悟を決める
    ・マンツーの会話はできるだけ避ける、ないしメモでいいので文字にして履歴を残す
    ・そういう見方もあるのかと一旦受け止める、が、それは受け入れるべきではないという場合にはしっかりと言語化する
    ・誰から伝わることがベストなのか;最も得たい結果に近づけるための選択をする
    ・全員にいい顔はできないが、悪者になって突き放せばいい/厳しくすればいいという話だけではないことを真に理解する
    —–

    この箇条書きの内容については、折々で加筆修正削除していくことになりそうです。そうして自分自身もより己の考えを整理し、実務へと移し、クライアントさんに貢献していけるよう努めていきます。
    そう、このESSAYページはいつしか自分自身のためのエッセイ集としての役割が大きくなっています。

  • 世界的パンデミックの渦中にて

    世界的パンデミックの渦中にて

    新型コロナウィルス(COVID-19)が世界的パンデミックをもたらし未だその渦中にある今、備忘録としてここに残しておきたいと感じます。
    日本政府は4月16日夜、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言の対象を、これまでの7都府県から全国に広げた。全国の小中学校が休校となり、会社もテレワークを推進。飲食店や商業・観光施設は自粛、類を見ぬ価値観の大転換地点にいるとも言われています。
    5月14日、群馬県には緊急事態宣言が解除され、群馬県による緊急事態措置は終了。東京や神奈川は依然として渦中にあります。
    世界中の多くの国と同様に、新型コロナウィルスの第2波や第3波がきたら また自粛や制限へと逆戻り。先行きの不透明さが色濃く残る経済活動や移動の再開は 非常に不安定な中でかろうじてという状況であり、公私ともに予定が立てにくいと痛感しています。
    個人的には、ワクチン開発ももちろんですが、私くらいでも気軽に抗体検査へ手を伸ばせるようになることを願ってやみません。不要な疑心暗鬼や猜疑心は早く払拭したいしされるべき。見えないが故の混乱や、蓄積される形容しがたい心のモヤモヤ;これこそが一番の問題であり、非常に厄介であると感じます。

    私の周辺での出来事や気になった言葉、そこから日々考えていることを記します。今回のパンデミックが、長い余波を引き起こし、この先半年後や1年後にも悩まされることになるとすれば、自分でも時にここへ立ち返り、自分の言葉を確認すべきと感じるからです。

    ○グローバル化の考え方に急ブレーキがかかり、脱グローバル化の流れが急激に盛り上がっていくと考えられている。国際政治学者イアン・ブレマー氏も、今回 国ごとに時間差でロックダウンや自粛下に入ったことで、物流や移動の自由が強制的に且つ中長期的に遮断や制限される事態となった。私の周囲でさえ「トイレが届かず家が完成しない」、「イギリスにサンプルを送りたいが、イギリスの物流機能が正常化すると どうやら今度は反対に日本が不安定らしく EMSでさえ日本を出るまでに2週間かかる」とリアルな声が聞こえます。部品が届かないために製造ラインが長期化するリスクや、今後輸出入コストが上がるのではないかという懸念、またオンラインMTGがメインになるとはいえ重要会議、現地視察や調査等はなくならないはず。飛行機移動はどうなっていくのか。敷居が高くなるだろうか。ビジネスにスピード感が保てるのか。世界はどんどん小さくなっていると言われていたものが、突如真逆の論説が浮上しています。未来予測や舵取りは本当に難しい。
    ○パンデミックのきっかけは、私たちの大量消費社会と言えるという話に共感しています。人間が自然を破壊し、より多くの資源を求めるようになり、地球上での自分たちの生活圏を拡げ、これまで出会わなかった動物やウィルスに接するようになったと。私達自身が招いたことと言われています。
    そのニュースは、そう頻繁に目にするには至っておらずSNSやネットの世界で言われる程度。ただ事実として、私達は立ち止まっている。グローバル化と散々叫ばれていたものの、それらに突然ちょっと待ったが入りました。そして今までの、より速く、より大きく、より多くが根底から揺るがされています。
    ○だいぶ強制的なSTAY HOMEのおかげで、おうち時間が急増。お米の消費がとにかく早く、野菜も何もかもがみるみる減る。イギリスでは一時期パン焼き機の売れ行きが同月前年比400%増になったとか、男性の煮込み料理熱が増し ネットで話題になったと聞く。我が家では、庭で過ごす時間がかなり増加し、夫婦で庭木の手入れにハマっています。子供たちを外で自由にさせておいた方がよいだろうという共通見解のもと、いつしか親の方が外へ出ていくことが増えました。
    ○日本においては、欧米のように外出制限への強制力がもてないと言われたものの、周囲の目と同調圧力や和の精神がよく作用したと言えるはずです。ペリー来航から開国を迫られたように、島国的な国民性をもつ私たちはグローバリズムの中で懸命に新しい価値観を受け入れようとしてきて今もまだその最中でしたが、コロナ渦中にはもともとの日本人らしさが結果的によく作用したのかなと個人的には考えています。
    ○田舎暮らしに、またしても多くの利点を感じました。近所で自由に遊べる、公園には行かずとも子供は遊ばせようと思えば自由に遊ばせられます。田舎の家は得てして都市部の集合住宅や戸建てよりも面積が広い。パーソナルスペースがとりやすく、長引く制約の多い生活の中で精神衛生上 非常に重要と感じます。大人も、STAY HOMEの中で、自然に癒される。公共交通機関で移動する都市型の働き方よりも、地方の中小企業への車移動の方が今回に限ってはメリットが大きい。もともと公共交通機関推進派でしたが、スマートカー技術はどんどん進化してほしいです。ここほどにド田舎でなくても、人口密度が一定の数値以下である地域・エリアの方が 家族全員がハッピーかもしれないと やはりそんな風に感じます。
    ○家族全員、色々とオンラインに挑戦しています。5歳の息子が、世界に暮らす日本人の小学生向けのオンライン授業を受け始めました。彼が面白いと言うので 元素について、5回の有料オンライン授業を受講しています。夫婦ともに、ZoomでのMTGや飲み会にだいぶ慣れてきました。
    ○これまで、家族や親しい友人と動画で連絡を取り合うことはあっても 仕事においてはそうリアルに導入を考えたことはありませんでした。それはなぜなのか。自分の中で、山奥での生活が 新規案件のご相談をいただくタイミングにおいては 不利になるだろうと考えていたからです。だから、自分からは提案したことがありませんでした。1か月が経ち、これはwithコロナ期とそれ以降に大いに生かせると実感しています。田舎で暮らす私たちこそ、率先して導入すべきです。
    現に、私には新しい依頼が舞い込んでいます。誠意をみせるために まずはとりあえず会いに行っていたのが、Zoomで「はじめまして」。コロナ渦中では、これは失礼には当たらない。新しい価値観、早くも実感しています。
    ○敬愛する社会の先輩から「いろんなことが再編成されるだろうから、無意識に消滅するより、意識してどこに立つか決めた方が良い生き方かもよ」というご助言を賜りました。どこに立つかを決める。深夜00時を過ぎたメッセンジャーのやりとりでポーンと放たれた言葉に、心を見事に射抜かれました。
    ○人が大勢集まる場所に、人は本当に戻るのか。これは私も今後の動向を見たいトピックです。特に、知らない人同士が集まる場。オンラインで代替がきくものは当然前進できるが、コンセプトの軸に「大勢の人が集まること」を据えていては正直難しい。そして、抗体検査もワクチンいつ開発されるか分からないことを思うと、楽観視もしていられません。
    ○国籍、社会的地位、価値観などを越え、それ以前に私たちは人間であるという前提が今後、より意識されることになるのではないか。そしてウィルスは人を選ばない。老いも若きも、裕福でもそうでなくても、同じように襲います。どこに潜んでいるかが分からないため、私たちは強気でいられなくなりました。
    ○友達と遊べない、人と会えないことがもたらす影響や病気は 思った以上に深刻であると感じています。人が人たる所以を、ほんの少しだけ理解したような気持ちです。
    ○この状況を、時代の転換点であると認識するかどうか。認識する人としない人とで、差が開いていくのかもしれない。どんな差か。
    当事者意識をもってこの一連のatコロナに目を向けると 生き方、家族との生き方や個人としての在り方、ビジネスの戦略も変わるはずです。価値観の転換というのは、それが自発的であれば当然言動に表出するものの、それが 外発的であれば話は大きく異なると考えます。今回のパンデミックで半強制的に導入せざるを得なかった価値観は もとの日常に戻ればあたかも存在していなかったようなものにもなる。あれはなんだったのかと、消えてしまう。新しい生活様式もテレワーク/リモートワークの推進や、生き方への気付きも、すべてそうです。
    ある意味で、withコロナという長引くであろう余波のおかげで、私たちは気付き→検討し→具体的な行動にすだけの時間が取れる可能性が高い。まだまだ医療従事者の方々等のことを思うと「ウイルスのおかげで」と言うには憚られる状況ですが、私でさえ感じます。

    この50年、グローバル化を前提として経済は前進してきた。脱グローバル化の動きが進むのか。いや、話はそう簡単ではないはずです。資源調達や流通をグローバルで考えることは大きなリスクとなることが、今回よくわかりました。人の移動がこれほど著しいからこその病気の拡がり方も今回の特徴です。
    新型コロナウィルスは、何をもたらしているのか。しばらくはこの問いに向き合わなければいけません。まだまだ思考を深めなければいけません。

  • 素人とプロの狭間で

    素人とプロの狭間で

    IT技術やソフト、アプリのおかげで、素人がいわゆるデザインという領域において、それなりのことをできる環境が整ってきた。例えば、写真。加工の仕方で、素人であってもそれっぽい画像をインターネット上に掲載できるようになった。HP制作においても、無料テンプレートという選択肢が台頭。独自ドメインや広告の非表示という一定ラインを据えたとしても、そうであっても数万円でこういったHPを立ち上げることができる時代に入りました。
    そして私にとっての最たる驚きは、印刷物の入稿方法の変化です。以前は、印刷所に依頼する入稿データはイラストレータで作るしかなく そのことが このグラフィックデザインの領域を近づきがたいものとしていた。わざわざグラフィックデザイナーに依頼するほどではないものも、印刷所に相談する場合は入稿データがイラストレータ形式であることを確認される。それが、最近はワードやパワーポイントでデータを作り、そのまま入稿もしくはPDF化して入稿できますと謳うオンデマンド印刷サービスが台頭している。イラストレータ形式でなくても、アウトライン化されている云々ではなくても、入稿できる。試しに名刺の印刷を依頼してみたところ、紙はヴァンヌーボを選べ、その仕上がりは私には十分なものでした。
    印刷会社にしてみれば、当然の戦略ともいえます。これまでは主にデザイナーや広告代理店が主なクライアントであっただろうが、その先の個人/法人を直接の顧客にするための一手という営業戦略。誰もが気軽に印刷依頼をできるようにと門戸が開かれたのです。私のようなサービスの受け手からすれば、印刷会社からの歩み寄りは非常に有り難い。データをPDFにして保存する方法や、ワードやパワーポイントでのテンプレート無料DLサービス、そのテンプレートを開いた際にトンボマークの表示方法など、踏むべき手順や確認点が非常に分かりやすく示されていたことも印象的でした。きちんとサービスとして確立されていると感じられます。
    一度そういったオンライン印刷サービスを利用すると、無料メールマガジンの購読対象となり、どんなものかと読み進めると夏に検討すべきノベルティ、効果的な紙面の作り方、季節のお便りを作るべきか否か、ひびくキャッチコピーの考え方、ブログを書く際の留意点など。その都度届くメールは、時にサンプルコストまでも網羅し、それらに沿って進めればそれなりのものができそうという期待感で胸が膨らみます。

    ゴール設定の仕方ややりようによっては自分と周囲の友人知人で色々なことが十分なクオリティで出来上がることが可能になることがよく分かり、それでもデザインや撮影のプロに依頼すべきというのはどういう時と捉えるか。現時点では、私は以下として受け止めています。
    1)目標とする売上規模から逆算して考えた際の妥当性
    先行投資になりますが、必要な投資であると言えるためです。
    2)会社やブランドイメージを引き上げたいタイミング
    お金を投じる際にそれが消費ではなく投資であるなら、その成果物が、費用対効果という指標で最大限に引き上げられていなければなりません。それは、個々人の感じ方や好き嫌いを超えた客観的な一定ラインです。印刷物であれば紙質やサイズ、写真の質(精度、構図、明るさ含め)、見出しの的確さ、情報量、半スぺ等の細部。HPであっても写真のインパクト、動線、テキスト情報等の配置など。お金をかけて制作物を刷新するのは、ブランドイメージの引き上げや確立は必須です。
    時たま耳にするのが、「タイミングよく出会ったため依頼した」「あちらからやらせてもらいたいとラブコールがあって」「友人や知人がサービスを提供しているから依頼した」という話。よい人との出会いであればそれに越したことはないのですが、デザインや見せ方には正解がない分、その内容も千差万別であるとも感じます。フラットな目での判断が理想です。
    3)国内外展示会へ挑戦するとき
    これは言うまでもありませんが、特に海外へ向けた挑戦はHPが必須と感じます。SNSのみで成功するケースもありますが、そちらの方が少数派かなという印象です。
    4)少なからず予算があるとき
    誰に依頼するかにもよるとはいえ、やはり総じていいものが仕上がると思います。特にホームページは、無料で作れるものまでありますが、それ相応のデメリットがある印象です。
    5)メディア露出が増え始めたとき
    雑誌やテレビの取材、そしてWEB記事であっても、年に2度でも取材を受けることがあれば、それは兆しかもしれません。メディアが取り上げた際に、いい写真素材があるか、伝わるHPが受け皿としてあるかということは その後の売上を左右し、拡がり方が変わってきます。SNSもいいですが、ホームページの役割は確かに存在します。また、うまく合致した際のメディアからの波及効果は言葉で説明できるものではありません。
    6)HPのリニューアル案件
    データの引っ越しやSEO対策を考えると専門家に依頼する方が、相対的にスムーズ且つ漏れがない。ネットで調べながら自分で対応してみようと試みるも、データが消えてしまった際のリスクをどうするか、そもそも素人が場当たり的に調べながら進めるには効率も悪い。そして暫くやり進めるも、本人が迷子になったところで依頼される方も大変です。リニューアル案件はプロに依頼することが得策と結論づけています。
    7)自分の知らない引き出しからの提案を取り入れる余地がある場合
    撮影でいうと構図はもちろん、光の捉え方や小道具、編集方法など その道のプロだからこその経験値があります。とはいえ、そのプロの過去の作品から自社商品に合うかどうかの判断は必須です。制作物でいうと、翻訳依頼をかけた元原稿を、如何に多くの対象に使い回せるか。語尾や言い回しを少し変更して、最大限に活用できるか。翻訳依頼にはコツがあり、かけたコストに対して差が出ます。何が何でもコスト削減ではなく、提案を柔軟に受け入れられるのであれば断然プロへの依頼をお勧めします。


    目的の上位に低コストがくるのであれば、社内外でやりくりすることが最善の策です。
    過去に、HP構築やチラシ作成などにおいて、理想的なベストではないが現実的に考えるとベストという事例を幾つも見てきました。今回は社内で作る、それでいいんです。また、デザインを取り入れたいと思う気持ちが強いほど、そのチャンスに巡り合うとふと飛びつきたくなります。そのデザインが自社商品にマッチするのか、一考すべきと思います。
    少なくとも、決定権を有する人が、その表現が適している/適していないと判断でき、より適した表現とはどういうものだろうと思いを馳せる視点を養っていけるとよさそうです。それを突き詰める必要はありませんが、デザイン理念に関する書籍を数冊は目を通す、信頼できる人を間近に配する若しくは定期的に意見交換をするなど、程よく意識できたら理想的です。


    ※画像は、富山県砺波市の海岸沿いの公園。海のある風景が新鮮で心地よかったです。
    ※私的な考えを綴ったコラムです。無断での転載・複製はご遠慮いただいております。

  • 売上を伸ばすためにできること

    売上を伸ばすためにできること

    今思えば、3社目の上司は、マーケティング思考にとても長けていた。3社目で30近く。当時私は彼女のアシスタントとして各種案件に携わっていたものの、今思えば戦力になったというより育ててもらった記憶しかありません。

    この上司は、クライアントのニーズを紐解き、担当者の立場や意図を細やかに汲み、クライアントの満足がどこにあるかを常に軸に置いて動ける人でした。また、迅速に社内調整を図り、関係者とチームを作り、多少無理なスケジュールであっても協力させることができる強さと説得力もありました。とはいえクライアントに肩入れしすぎない、絶妙な塩梅で相手の満足度を超え、自社の利益を考えるという。コンサルマインドを背中で私に示してくれた人です。厳しくも愛に溢れ、お酒も好きで人も好き、率直でロジカル。肝のすわり方と人生経験の豊富さでは足元にも及ばない、人間らしさ溢れる女性で人生の先輩のような人です。

    彼女から教わった多くのことのうち、私が常々意識していること。ビジョンを描き具現化に邁進する際、必ず最後、現実の市場というフィルターを通して確認すること。これは上司から直接言われたことではありませんが、私はそう理解し骨の髄まで染みこんでいる考え方です。そこに義父からの「自分が今どこにいるのかという出発点を見誤ると、うまくいくものもいかなくなる」というアドバイスがついてきます。今春、とある方にお願いし、群馬県のものづくりの現状について話を伺う機会に恵まれました。その中でも感じたことです。

    例えば、ギフト提案。いくら目新しく魅力的で絶対にいけるだろうと思っても、3,000円、5,000円、10,000円という価格帯に落とし込めなければその企画は見送るべきという判断。その際、税抜き3,200円までなら消費者も出すだろう、3,300円ならどうか。3,000円を切ることは絶対にしない。日本の贈り物文化やギフト業界のルールを踏襲するというフィルターを通し、現実的な提案に落とし込む。イタリア食材のECサイト活性化支援という案件では、ターゲットを場合分けし、どんな風に食すかを想像した上でセット企画を提案。実際に購入し食べて飲んでみると、そのECサイト内の食材で完結する家飲みなど存在せず他にどんなものがテーブルに並ぶのかがより分かる。盛り上がれば、家にストックしてあったつまみや1人では開けるに至らなかった食材が突如陽の目を浴びる。そうすると、女子会セット企画もよいが賞味期限の長いつまみもいいと気付きます。バッグであれば、仕事で使えそうなデザインであってもA4がギリギリ入らないとなれば購入者の選択肢から外れる可能性が高い。たとえそれが製造工程での制約であったとしても、作り手側の都合は市場で支持されにくいことは想像に難くありません。であれば、違うものを作るべき。「一部の富裕層を対象に」と言っても、その富裕層に直接リーチできる手段があるなら別ですが、雲の上の話であれば出発点の見誤りです。また、有名著名な方を誘致しPRしてもらうということも見聞きしますが、当たり前ですが心から支持してもらえることが理想だと心底感じます。

    話が逸れ、恐れずさらに逸らすと、世の中にはそういった先読み先回りに長けている人が大勢いると日々感じます。今では当たり前の「あなたにオススメ」「お気に入り」「これを買った人はこれも見ました」「購入履歴」というECサイトの基本機能。そしてビッグデータからの、新規のお勧め。宿泊予約の際は、最安値プランとともに2000円分のポイント付与プラン。個人のカードで出張アレンジをする際に支持されるプランでしょうが、その意味に気付いた瞬間、最初に考えた人はすごいなとPCの前で深く感心してしまいました。
    良くも悪くも、選択肢が溢れる時代。どのメーカーから、どのサイトから購入するのか。いい大人であれば、小さな工夫や意図に気付き共感し、企業姿勢から選択することもあるだろうと考えます。いつしかアマゾンが、配送時のオプションとして「できるだけまとめて配送する」という選択肢を提示するようになりました。こういうブラッシュアップは素晴らしいし、きっと市場からの声も多かっただろうが、そこにそのボタンが実装されるまでの調整や現場整備等に尽力した人たちがいたのだろうと思うと 私の中でのアマゾンの株が上がります。
    今の商品やサービスに 小さな工夫を施すことで支持され、売上がじわりじわりと伸び出すことがある。細やかな工夫は、こちらの想像以上に記憶に残り、そのことがきっかけでファンとなる場合もあります。欧州の3つ星レストランに商品を送り、後日フォローアップのため足を運んだ際、「緩衝材の巻き方が美しく 箱を開けた瞬間溜息が出た」と言われたことがありました。間違いなく、企業姿勢(正確には当時のパートさんのお人柄による部分も大きいですが)に共感しファンとなってくれた瞬間でした。たとえ購入に至らずとも応援し、紹介してくれる心強い存在です。 また、シンガポールのミシュランシェフも数年後、私たちが初めて出会った際(私が営業に行った先のシェフだった時代)に 私がiPadに入れていった1枚の画像について、いかにそれが記憶に残っているかと力説を。嬉しくも、やや驚いた再会でした。

    私にとって、中小企業や個人事業主の方々の規模感は非常に魅力的です。 その規模だからこそ、小さな工夫や改善の積み重ねが目に見える売上の変化に繋がっていく可能性を秘めていると感じます。注文が殺到するという嬉しい悲鳴もよいはよいですが、社内を考えるとゆるやかな売上増が続くという状況が最善ではないかと感じます。特に4社目での「売上が前年比135%という嬉しい悲鳴が続いた」状態にいた経験から、そう強く感じるに至りました。そしてニッチなターゲットを設定しても必要な売上が見込める可能性があり、面白そうだなと他人事ではありますが 勝手に想像します。 大きなお金を投資し1からの改装や商品開発をする前に、見直し取り組める小さな何かがあるかもしれません。書類1枚、メモ1つ、椅子1脚、棚1段。その際、現実の市場と照らし合わせたり 人の潜在ニーズを細やかに想像してみるというステップが大切と感じます。
    私の立場からすると上司と義父からの教訓は常に意識すべきものですが、もし自分が作り手や提供側になったら、どこかのタイミングで必ず現実と照らし合わせること、そしてできるだけ具体的に想像しできれば体験してみること。作りたいものや提供したいサービスを信じて具現化することも大切ですが、いう間でもなく求められるものを提示できた時の喜びも大きいはず。現時点では、両輪が理想なのではないかと個人的には考えています。いずれにせよ、何を作るにしてもその提示/提案方法が重要で、価格はその大きな要素の1つ。そして、期待値を上回る(記憶に残る)工夫を心がける。自分への戒めでもあります。

    ※私的な考えを綴ったエッセイです。無断での転載・複製はご遠慮いただいております。

  • いつだって悩ましく難しい、「英語ができる」スタッフ探し

    いつだって悩ましく難しい、「英語ができる」スタッフ探し


    会社員時代、皇居にほど近い丸の内エリアに、自社として初めての路面店を出店することになり その立ち上げ担当となった。 完成した店舗は横に長く、8-10メートルほどの通路に面した側が、床から天井までガラス張り。商品の価格帯は1200~15,000円、まとめ買いすればあっという間に2-3万円になる自社商品をすべて置いているいわゆる会社の旗艦店。
    引渡し前の立ち会いチェック、備品の洗い出し、本社とのやりとり、人材確保そしてスタッフ教育。スタッフ採用に関し、ある程度の裁量を与えてもらっていたが、社長から提示された条件が1つ。スタッフとなる人は、英語でお客様とやりとりができること。

    巷でよく言われる「英語ができる」に求めることは、その達成目的によって大きく異なります。そして社長からのたった1つの条件が、今回のそのハードルは、相当高いと大きく息を吐き出したことを覚えています。
    社会人として体得すべき仕事への姿勢や取り組み方を粘り強く私に叩き込んでくれた1社目の会社にて、1年目の2月だったか、そこから派遣社員さんの採用活動を担当することとなりました。私付きとして、私の指示とマネッジのもとで業務を遂行してくれる派遣社員の方を自分で採用しなさいという上司からの提案です。全体像が見えない中でも暗雲の中に責任という文字が見え隠れし、当時の私にはそれはそれは肩に重くのしかかる。終始私につきまとい、溜息しか出ないくせに 業務上のベターのためにはやるべきだとも分かっている。そんな腹のくくりきれない私に対し、その上司は1週間後、「そんなに悩んでるなら、その悩んでる時間を俺はその派遣社員さんに充ててほしいと思うよ」と。
    そこから私を取り巻く「人」の物語が始まりました。毎週のように人材派遣会社さんからの紹介で面接を繰り返し、在職中は常時数名の方に来ていただくことになりました。苦い、歯がゆい、胃が痛くなるような経験もそれなりにし、例えば派遣会社が潰れその方にはっきりとモノを言われたり、持病が悪化したり、突然夢に向かいたいと言われたり。「人」のことはいつだって悩ましい。「誰かに頼むより自分でやる方がよっぽど楽だ」と何度終電間際の新宿駅に向かう帰り道、「溜息をはすぐに飲み込めば大丈夫」といつかの古い記憶に励まされ 夜空を眺めたことか。

    当たり前ですが、社員と異なり、派遣さんやパートさんにどこまで会社が求めるかは色々な考え方があり、私もそれについては日々考えてきたつもりです。
    そして私の採用は過去の反省と私なりのルールがベースとなり、ここでは久しぶりにその原則を引っ張り出して対応しました。

    今回私が描いた、採用閾値(スタッフとして旗艦店で働いてくれる人のイメージ像)は、過去にビジネスで英語を使用したことがある、駐在で旦那さんについて住んでいたことがありご自身も勉強熱心なタイプである、英語での実務経験は少なくとも日本語が美しい、学生時代に塾や企業の受付業務をしていた、など。そして、年若い私から指示や指摘を受け止められること。この最後の1つが、実は案外尾を引くことがあると感じてます。中長期的にその方がいいコンディションで業務と向き合ってくださるかどうかの、一番難しい部分であったりする場合があります。英語をビジネスの場においてある程度自由に使いわけ 会話ができる人であれば、他の企業にとっても当然魅力的です。且つ、そういう人は当然ながら学習意欲も経験を積むことへの意識も高いことが多く、次のチャンスを考えています。そして、当然やってこられた自負がある。若い私からの指摘をどう感じるのか、反発されても部分的にはまあ当然と私だって思うわけです。 言語スキルが高くビジネス経験があり、さらなる習得と本人に就業の強い意思があったとしてもいいお見合いにならないケースもある。それがこういう場合です。たとえ採用に至ったとしても、早いうちに他へ移ってしまうケースです。

    ”英語を使う仕事です”業界の中で、ほぼほぼ無名の会社が、東京のど真ん中でそんな素敵な人を採用できるのかと。(当時は東京での認知度はまだかなり低く、ものづくり業界の中での盛り上がりと世間との温度差を一担当としてひしひしと感じていました。)
    採用に関しては、きっと皆さんそうでしょうが、結局最終的には感覚を信じることにもなるわけです。喉から手が出るほど誰かに来て欲しいけれど、その誰かがいることによって次に出会えるかもしれないさらに素敵な誰かの席がなくなる。でも暫くその次の素敵な誰かに出会えなければ、私はどうするのかと。その時に ふっと決めるのか見送るのか。その人に会った自分にしか分からないし、30分やそこらで何が分かるのかという気持ちにもなる。すると、時として、賭けのような思考回路になるんです。一度採用を決めたら決めたで、確かに心はスッキリもします。あとは、その方とすでにいるスタッフと、よりスマートでお客様に心地よいと感じていただける空気を作り出し、商品を伝え 販売していくこと。そこからは、とにかくその人に全力で向き合うこと。
    1つ質問をされれば、はっきりとした言葉で返事をし、加えて「過去にこういうケースがあった、こういう場合も考えられる、本社ではこういう風に捉えている、今の判断はこうだけれども 今後方針が変わる可能性だってある。だから、お客様には例えば~と伝えたり〇〇というフレーズを使うこともある」と。日本語で説明し、具体的に英語でのフレーズを確認する。過去に海外出張中であったケースを共有する。とにかく毎日、オープンした当初は 言葉通り私自身が毎晩終電で帰宅する日々でした。お店が閉まるまではスタッフとよく話し、ニュアンスを繰り返し確認し、彼女らが帰ってから自分の仕事をするという。社長にまつわる笑い話や工場の作り手、 電話でやりとりをする事務所メンバーのことも、私が知る範囲で沢山話しました。振り返れば、何の化粧水を使っているかとか旦那さんとのこぼれ話も懐かしく、また、高岡や富山出身のお客様も多く足を運んでくださり 本社工場から遠く離れた東京の拠点でも高岡や富山の話題をよく耳にしました。その度に、「すごいのは社長であり、こうして足を延ばして寄ってくださる方々の期待を裏切ってはいけない。ここは言葉通りの旗艦店なんだな」としみじみ思ったものでした。

    余談ですが、アルバイトスタッフの採用とあわせて正社員雇用となる店長の面接も同時進行させ、3名の面接をしましたが ご縁がありませんでした。結局オープン時は自分で店長という草鞋を履くことを選び、程なくして日本橋と銀座の百貨店担当にもなりました。各百貨店からのリクエストで 先々の企画提案をまとめ、店長たちとはクレーム事例を共有し、各々の店舗特性を踏まえ各店舗がどこを目指すのかを明確に。
    その後見つかったこの旗艦店の店長は、主人の元同僚でした。人探しの1つの進め方は自分の友人知人を見渡して、「この人に担ってもらいたい。その人がダメなら、この人のお勧めの誰か」や「この人の周りにいる人なら、きっと間違いない。まずはこの人に直接相談をする」です。この彼女に関しては「誰かいないかなー誰かー」と人探しが進まなかった数か月の間に、私がふと主人に「もう一度だけ、携帯の電話帳を見てもらえないかな」で突如急浮上した女性です。ちょうど彼女が前職を辞めて何もしていなかった時期に、タイミングよく主人が「なんで今まで思いつかなかったんだろう」と紹介してくれた方でした。

    話を戻すと、最初に自分の描く最高値(仕事上の自分の分身)を背伸びしてでも描き、3か月なり6か月なりの期間を設定し、本人にも伝え、そこに向けて時間と意識をとにかくかける。包装や熨斗対応といった、店舗運営上の大切な項目は得意な人たちの力を借りる。スタッフに求めることは、雇用形態の違いはこちらの都合だけなので、妥協をしない。気付いた時点で伝える。英単語1つ、動き1つ。そのうち、ガラス張りの店舗で立ち居振る舞うことを心地よいと感じ、ある種そのステージで演じることを楽しめるようになってくれたらと思っていました。

    東京であっても中小企業における「英語ができる」スタッフ探しは、なかなか難しいと感じています。任せられ、そしてその人が数年にわたりいい仕事をしてくれるかどうか。それでも一方で、組織が小さいが故に なおさら人次第で目に見える変化がすぐにでも起き出す場面や出会いたかった相手を紹介してもらえる瞬間に身を置くと、ああやはり人なんだなと深い確信へと繋がります。

    しかしこう言っては元も子もないとはいえ、英語ができることもそうですがそれ以上に、その人のまとう空気感や笑顔の様子、凛としたオーラの方が、実は会社として伝えたいことをよりしっかりと相手に伝えてくれる要素になるのだと後に気付くことにもなりました。最低限の専門用語は覚えるべきですが、ゆっくりと丁寧に会話することを心がければ、簡単な単語やフレーズで十分とも言えます。例えば ニュアンスの難しい内容であれば 文字でまとめて それをご覧いただければそれでよい。何も会話で伝えるだけがすべてではない。お互いにいい大人、きっと伝わるはずなのです。実は、そういう人たちを 海外展示会のブースでも時たま見かけます。英語は単語だけであっても、雰囲気に圧倒されたり つい目がいってしまう。雰囲気に所作、そして笑顔とアイコンタクト。英語がどれほどできるかにこだわりすぎると、本当に大切な何かを見失いそうにもなる。今はそう思っています。

  • 英文メール、楽ではないが奥が深くて面白い

    英文メール、楽ではないが奥が深くて面白い

    日本語を母国語とする誰しもにとって、往々にして外国語でのメール本文作成は、日本語でメールを作るのに対し 時間を要します。要する時間はその内容や相手との距離感によって大きく変わりますが、1割増しから2~3倍、10倍増しにだってなり得ます。

    私自身、1社目では社外やりとりは7割がた英語、2社目ではものづくり中小企業の方々に代行して コレポンする機会が何案件かあり、3社目では1つの案件でやりとりを。4社目では営業活動を始めるにあたってのマスメール、飛び込み営業のためのアポどりメール、紹介をいただいての挨拶メール、プライスリスト送付時の営業メール、お礼メール、そして代理店や販売店候補企業へのメール、日本国内での売上状況や生産状況を説明する戦略共有メール、またプレス向けのリリース配信メールなど 様々な種類の英文メールを作成してきました。

    電話は苦手でも文章ならなんとかいけるという方も多いかもれしれませんが、メールというのは非常に奥深いツールだと思います。ここでは外国との英語でのやりとりに絞りますが、例えば;
    ——————————————-
    ・文字と資料や画像が、瞬時に相手に届く。
     (かつて郵送物をやりとりしていた時代とは時間感覚が全く異なる。)
    ・アルファベットでのやりとりにおける互換性は担保されている。
    ・記録として残るため、後々裏付け書類にもなることがある。
    ・口頭でのコミュニケーション後に補ってくれる。確認のためメールを送る
     というのは相手が外国の方の場合には必須ステップ。

    このまま、英文メールの話を少し発展させようと思います。
    メールは、うまく活用するとその人との最初の出会いを強く印象付けられるツールにさえなります。それは営業であれば、事の始まり。以下は、私が4社目においてたどりついた自分の成功パターンです。メールでの事前のやりとりを営業活動における序章として、どう膨らませ位置づけられるのか。私が目指すゆるやかにデザインしていくということのゆるやかさとは、こういうことを指しています。
    日本人の氏名は、どちらが 姓か名か、性別でさえ分かりにくい。この分かりにくさが予想以上のギャップとなる瞬間があり、私にとってはいかにそのギャップを大きく強烈なものにできるかが実はビジネスにおいても非常に有効になると当時ふと考え始めました。在職中、自分なりのセオリーを確立していったことを思い起こしています。私でいうそのギャップとは、会った瞬間相手に感じてもらいたい裏切られ感。事前のメールのやりとりではビジネスパーソンらしいポライトで洗練されたフレーズを織り交ぜつつ、ロジカルに、明言をし分かりやすく。相手に“ビジネス経験を積んだ経験豊富な海外マーケットを統括するマネージャー”らしいイメージを持ってもらいたく、イメージする人物像の性別は意識せずとも時たまはっきりとした物言いをするため メールの受け取り手は男性かなという印象を受けていたかもしれません。
    そして迎える、はじめましてと握手する瞬間。きっと思い描いていただろう最初のミーティングでそこに現れたのは、見るからに若く童顔な女の子。 あからさまに、「Okay.. well, come in.」からはじまった出会いもありました。「荷物はこれだね?手伝うよ」と持ち上げようとする時に、私は「Oh, thank you. But be careful, it’s quite heavy.(あら、ありがとう。でも気を付けて、結構重たいから)」とサンプルをぎっしり詰め込んだ23キロのRIMOWAを預けて言うわけです。当然相手は、「なんだこれ!こんなの持ってきたのかい?」と。
    その後のMTGにおいて、自分が話すべき相手が私であり私しかいないのだと相手が理解し納得してくれるところにまで到達できれば、事前のこの誤ったイメージは膨らませるに限る。そしてギャップとして印象に残るだろうと。要らぬ自慢ですが、私がそれ以上に描いていたのは「TOKYOから3時間も離れた街にある小さな会社に、戦略やら原理原則やら結構話せる女子がいた。しかも多分、結構若い」という印象付けでした。これを私は、徐々に輪郭をつけ、自分のスタイルとして在職中は意識していました。

    その人によって、ちがうべきであるこのスタイル。海外市場に対する会社の目指すところと自身の役割とともに、自身の性格や英語のスキルを客観視し、ゆるやかに想像してみるということも 海外市場においては有効と思います。なぜなら、ほとんどの場合、相手は国内市場と比ではないくらい、私たちを知らないからです。日本市場のような周囲からの情報もなく、往々にして描いたことをそう運びやすい自由度が広がっています。英語のスキルがそれほど高くなくとも その描き方がフィットし功を奏している例も身近に見受けます。彼は言います、「あんまり英語の表現を洗練させたくないんだよねぇ。英語はそんなにできないんです、でも一生懸命対応していますって相手に思ってもらっててほしい。そうすると何かあった際にもワンクッション置けるから」と。海外顧客との英文でのやりとりに関し、独自のスタンスを確立している。
    描いてその通りに無理して振る舞うわけではなく、しょせんビジネスだからということですべてにおいて計算すべきというわけでもなく。つまり、ちょっと思いを馳せて行動してみると、またちがった景色が見えるかもしれないという話です。

    余談ですが、ドイツでタクシーの運転手のおじいさんに「夜8時を過ぎたらホテルから出ちゃいけないからね」と言われていました。30歳にして大学生に間違われたかなと、今でも記憶に残っています。日本国内でもお茶汲みのお嬢ちゃんと間違われたかなと思うこともあり、しかし私にはチャンスにしか見えず楽しめるようになりました。メールのローマ字署名では、苗字は全部大文字にし (例:Yuko SAWA) 名と姓が分かるよう相手に配慮し、距離感を見つつ文中に私が女性であるとわかるような一言を織り込むよう意識しています。

  • 整合性と一貫性、スペルチェックや基本グラマーの重要さ

    整合性と一貫性、スペルチェックや基本グラマーの重要さ

    1社目の国際見本市主催会社にて、ビッグサイトの天井から吊るすバナーや通路に立てる看板、1000社を超える出展社の社名一覧、動線上に設置する各種看板の原稿チェックを担当していました。

    職業病とはまさにこのこと、それ以降 気になって仕方がありません;
    ・社名の法人格が CO., LTD.なのかINC.なのかどっちだろう
    ・半角スペース以上に空いている隙間は、なんだろう
    ・カンマの後にあるべき半角スペースが見当たらない
    ・同じであるはずの看板とバナー原稿のスペルが違う、なぜだろう
     (どこかで段ずれを起こしたか、文字が飛んだか)
    ・大文字であるべきはずが小文字になっている
    ・もったいない単語のスペルミス、なぜだろう

    例えば、英語での法人格。1つの会社で2‐3種類も存在する状態は、私にとっては気になって仕方がありません。日本国内での法人登記の際に、英語社名や英文社名(株式会社を、Co., Ltd.と表記するような社名)を登記することはできません。英文社名は登記するものではなく、各社がそれぞれ自由に決め 名乗ることができるとのこと。組織が比較的大きい若しくは大きくなる過程にある場合は、定款に定める場合もあるという。したがって、英文社名というのは登記によって決めるのではなく、各会社がそれぞれ好きに「名乗る」というような性質のものとなります。 しかしながら、そうであったとしても、一貫性は重要であると感じます。1つに決めるべきです。

    過去に自社で作成した書類、原産地証明書等の第三者が発行する書類、過去に提出した補助事業等の申請書、 会社の過去メディア掲載時の表記が 細部においてすべて一致している状態が望ましいと思います。会社沿革等の文字情報も然りです。その際に、FoundationとEstablishmentのどちらを使用していくのか。一度整理し、基本形を作成しておくとスムーズな発信ができます。

    余談ですが、1社目にて、東京ビッグサイトを中心とした都内の主要乗り換え駅を記した路線図を作成しました。その際、調べていて今でも記憶に残っているのが日本橋はNihonbashiではなくNihombashi。 社会人2年目で「入稿物は、念には念を入れダブルチェックすべき」という強烈な印象付けがなされました。また、英文書類で頻繁に見かけるダブルクオーテーション(“”)とピリオド(.)の関係。ピリオドは中につく。関連するものでいうと、カンマも中につく、クエッションマークとコロンとセミコロンは外につく。当然ながら、こういった細かな書き方にもルールがあります。

    すべてを覚えている必要はありませんが、特に発信内容(インターネット上であれ印刷物であれ)に関しては、過信せずに確認作業を行うことは重要ステップです。かつてこういった細部の調べものはガイドとなる書籍や精通した専門家に依頼するしか方法がなく、膨大な時間を要したはずです。大企業であれば可能ですが、中小企業においてはこのような細部の話は飛ばされていたでしょう。しかしこの時代、ちょっとした工夫をすればインターネットを活用し正しい解を導き出せます。

    なぜそこまでの細部にこだわるべきなのか。一貫性や整合性は、クオリティです。会社や個人、そしてそのモノのクオリティに直結してしまいます。あちらとこちらで1文字違っていたら、気になる人は気になります。1万円するグラスに添えられていたカードに、小学校で習うような文法上のミスがあったら 私たちはどう感じるでしょう?基本的なミスだからこそ、残念と感じその印象も大きくなります。いう間でもなく、書籍がインターネット上の記事よりも信頼される大きな理由です。もちろん、そこまで気にしない人もいます。しかしどうせなんらかの手間をかけて発信という作業をするのであれば(自社発信かメディア掲載かは別として)、ものの質や会社の姿勢を伝える際にマイナスとなる要素を可能なかぎり取り除くこと。そうすれば、その面での無用なマイナス要素は回避できる。そのための、ステップです。まずは、HPでよく見かける会社概要や会社沿革に掲載されている情報は、一度精査されることをお勧めします。 Word文書にテキストをコピペし、校正ツールにかけるだけで、要検討箇所が一発で表示されます。そのステップを踏むだけでも、有効だと感じます。

  • HPの自主制作を通じて得られた気付き

    HPの自主制作を通じて得られた気付き

    今ご覧いただいている本HPは、制作に関してはど素人の自身による自主制作です。
    私は、新卒の1年目から4社目の終わりまで、HPやシステムのディレクション業務にずっと携わっておりました。このディレクション畑での最初の仕事が、事業部で外部委託していた出展社管理システムの動作確認。IDとPWを入力するとまだ公開されていないHPが見られて、それが望んだ通りの動きをしているのかという確認が業務でした。当時、管理画面という別HPの位置づけが理解できず、一般の人には見えないHPが存在するという意味があまり理解できておらず、さらに「ここ(管理画面のテキスト入力欄)を触ると、あのホームページの文字が変わる」というつながりが見えず、当時は文章の修正1つで四苦八苦。
    その後 転職を繰り返し、所属した企業の規模によっては自主制作という選択肢も一瞬頭をよぎったものの、結局は4社目の終わりまで、自分で手を動かして制作するということは一切してきておりませんでした。
    餅は餅屋というように、そこはプロに任せるべきで私には私のできることがある;それが会社にとって最善だというのが 当時の私の考えでした。

    しかし5年もの間、仕事の前線から距離をとり、ずっと以前から気になっていたことがやはり今でも気になっている自分に気付いたのです。 テンプレート、オープンソース、ワードプレス、ムーバブルタイプ、そしてレスポンシブなどとよく耳にするようになりもう何年になるだろう。本当にそうなのか、実際のところどうなのか。実際、どんなものなら自分で作ることができるのか。
    Google日本法人の元社長が以前、「世界では無料サービスがどんどん開発され、ブラッシュアップされている。日本人はもっとフリーサービスを利用すべき」と仰っていた言葉が強く胸に残っていました。

    5年ほど子育てに専念して社会をなんとなく見てみると、やはり、一定数の人がHPやシステム構築に携わり 生計を立てている、そして個人のブログや趣味のHPを立ち上げる人は依然として大勢いる。ECサイトやカード決済への敷居もかなり低くなっている。メルカリやCreemaというサービス、noteなどという新しいプラットフォームも誕生している。やはり、気になっていたことに着手すべきではないかという結論に至りました。私も自分でできるかな、やってみよう、というHPの自主制作です。

    無料でどこまでできるのか、有料との違いはなんなのか。そしてその先にある、プロに依頼するとはどういうことか。 非効率なことが苦手な自身にとってわざわざど素人の自分がそれでも実際にこのステップを踏むかどうか、数週間行ったり来たり。それでも、今回も、ワードプレスの無料テンプレートをリサーチするところから始めてみました。
    そして本年7月から、ひとまず仕事再開で小さく始めるとはいえ、フリーメールにはやや躊躇いがあり、結局レンタルサーバー契約、ドメイン検討から登録、メールアドレスの設定。ついでにポートフォリオ代わりのHP準備。
    目的、イメージするターゲットの整理、構成の検討、サービスの整理を、ここでもまた行ったり来たり。今まで何気なく耳にしていたプラグインやウィジェットなどという単語や概念が徐々に身近になっていく新鮮な感覚の中に身を置いています。 今ご覧いただいているHPがまさに仕上がったもので、なんとか形になりました。

    しかし、結論として、私にはここまでだなと。コーディングを学ぶ気にはならず、WEBデザインという領域も然り。やはり、餅は餅屋であると感じ、今後もこの分野においてはディレクションという立場に身を置き 信頼する外部の方と連携したいと感じました。今回、本HP制作をおこなったことで、その思いが5年前に比べかなりはっきりしたことが非常に大きな収穫です。 プロに依頼する意味を体感でき、やはり自分でやってみたからこそ強く実感できたという。

    ご参考までに、本サイトはWordpressを使い、そこに有料テンプレートを挿入し制作しています。
    プラグインを3つ使用した以外は、そのテンプレートの範疇です。例えばTOP画像の切り替わりはもう少しシンプルでよかったのですが、そこに思いを馳せ時間をかけることはやめました。この仕上がりで、今の私には十分(good enough)と結論づけています。パソコンはWindowsで、サイト内の画像はすべてiPhone、編集はペイントブラシまで。
    制作の目的や使途、位置づけは具体的にイメージしています;
    ・名刺+αの、職務経歴書代わり。お会いした後、名刺に掲載したURLからアクセスしていただく。 また名刺交換前の、自己紹介ツール。また、私を紹介いただくことが発生した際に、知人やお客様にも使用していただきたい。
    ・SEO対策やアクセス数を増やす対策までは、正直今の時点では考えられておりません。したがってシェア機能等はつけていない。
    ・SNS連携もしない。SNSは公私混同で楽しんでいるため公開予定はない。
    ・無料ブログサービスではなく、いわゆるフリーランサーとしての自己紹介および書きたいことを書き溜める場。これまで社内外の会社紹介、製造工程、キャッチフレーズ、取扱説明書、FAQ、プレスリリース、店頭POP、自社HPのコラム等の文章作成を担当してきた中で、自分の書きたいことを書くプラットフォーム(COLUMNページ)。今が最終形ではなく、トピックにカテゴリーや語尾語調など 変化していくものとして捉えている。
    ・本ページにあるような長文記事は、「こんな人に届いたらいいな」と具体的にイメージする人がいることもありますが、好きなことを書き溜める場です。

    3歳5歳というまだまだ手のかかる息子らがいる中でこの7月から始動する、フリーランスとしての活動。
    仕事に邁進していた正社員という立場を離れていたこの5年は、子育てをする中で取り組むべき意義を感じられたものとクライアントとなる人に直接依頼いただいたもののみに携わってきました。その間、その制作物の性質と運用を考え、イラレ入稿ではなくパワーポイント資料として制作し納品することを提案した案件がありました。構成から文章までをすべて1人でこなした、30ページにもなる紙媒体の制作です。この仕事のおかげで、制作物の概念がまた変わりました。また、隣で夫の仕事を見ていてもそう、 Keynoteで作る資料やHPの更新、HTMLメールの活用などをサクサクと見様見真似でやっていく。
    プロへ依頼することと、素人でもできること。境目が曖昧でぼやけているからこそ、様々なオプションがあることも理解でき、ケースバイケースであると確信しました。